■変化についていくこと (2003年12月19日号)


現代は変化の激しい時代です。ビジネスの世界では、この変化にいち早く対応できるものこそが勝ち抜くと言って世の中の変化に目を光らせています。変化についていけないものは、取り残され、ビジネスチャンスを失い、消えていく運命にあると言われます。変わることは時代を先取りすることであり、新鮮なことであり、最も進歩的なことのようなイメージがあります。

一方で、変化は人々を不安に陥れる一面も持っています。常に意識して、緊張してその変化についていける人は多少の安心感がもてますが、その変化についていけないときとても不安感を覚えます。変化する先が見えないとか、変化についていけるパワーがないなどついていけない状況にもいろいろなものがあります。そんな時、どうして変化が必要なのか、どうして変化についていかなくてはならないのかと思うこともあるでしょう。

そのような観点から見ると変わらないということは、とても安心感をもたらします。変わるものを追いかけすぎて心が疲れたときに、無性に変わらないものを見たいと思うことがあります。久しく会わなかった友人と再会して、昔と変わらない姿を見ればとても安心します。「変わらないねえ」と言い合う言葉はその喜びの表現です。故郷の山や川、風景にそれを求めた詩(うた)が、数多く残されています。皆そこから心の面の安心感を得ようとします。変わらないことがもたらしてくれる1つの特徴です。

さて、私たちは、変わった方がいいか、あるいは変わらないほうがいいか迷うことがあります。それが例えばトランプのポーカーのようなゲームでしたら、初志貫徹でいいカードをひいて勝とうが、それが裏目に出て大敗しようがその場だけのことであり、大きな問題ではありません。しかし、それが自分の人生での大切な問題だったり、ビジネスでの大きな判断だったりと言う場合には、変えるべきか、変えざるべきかがその後の結果を大きく左右します。そのとき、指針をしっかりと持っていることが重要です。その指針が変わらないものであれば大きな自信を持つことになるでしょう。仮にそれに従った結果が失敗だったとしても、指針に従って行ったことは後からどこに問題があったのか検証ができます。しかし、指針のはっきりしない出たとこ勝負ではうまくいっても次回もそのようになるとは限りませんし、失敗してもそれを検証して今度は失敗しないようにとつなげていくことも困難です。

変わるべきか、変わらざるべきかを決めるのは実は変わらない指針であるということができます。いかに変わらないものを持てるかが、変わるか変わらないかをコントロールすることができる自信と確信になります。その指針は哲学と言い換えることもできます。変化の激しい中に生きていくためには、いかに確かな哲学を持つかがとても大切だと思うのです。

メールマガジン編集部



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