■日常生活の中のWHOM (22)           (2002年9月12日)

報告(1) (トライアングルの法則から)


私たちの日常生活において「報告」は、人と人が協調して何かをなすために極めて大切な事柄である。「報告」は何も会社の上司と部下との関係において成されるだけではない。例えば夫婦間、親子間、友人間においても「報告」の果たす役割は大きく、夫が妻に隠し事をしたり、妻が夫に隠し事をしたりすると、つまり互いが「報告」できない状況にあると、2人の関係がぎくしゃくして、不安定になってしまう。また親に何も「報告」しない子供であれば、親は胸を痛めるであろう。「報告」がうまくできてこそ、当事者間の信頼関係は深まり、安定した関係となるはずである。

「報告」の本来的なあり方について、WHOMの基本法則の中でも最も基礎となる法則である『トライアングルの法則』で説明してみたい。

『トライアングルの法則』とは、「全ては、一つの三角形で説明できる」という法則で、ある事柄が結果として成就されるためには、目的・構想(WHY)を一定に保ちながら(水平ライン)、必要な材料・手段(HOW)をエスカレート変化させる(斜めのライン)必要があるということを意味する。逆に言えば、@目的・構想(WHY)を一定に保てず、曖昧になったり、ふらふらしたりしていると、A必要な材料・手段(HOW)をきちんと準備し、整備しないと、ある事柄は結果的に成就しないことを表している。

「報告」が結果としてうまくできて、当事者間の関係が良好になるためには、図のようなWHY(目的・構想)とHOW(材料・手段)両面を意識する必要がある。





まずWHY面であるが、そもそも本来何のために報告があるのかを考えれば、次のような点を常に意識して、心の内に一定に保つ必要があるであろう。

●相手の立場に立つ(喜びを伝えたい):
「報告」によって当事者間の関係が良くなり、安定するためには、報告される側の立場に立って「報告」というものを捉える必要がある。「報告」に限らないが、相手を喜ばせたい、相手に喜びを伝えたいという基本姿勢がなければ、「報告」は形式的なものとなり、当事者間の信頼関係は深まらない。

●信頼関係を築く(悪いことがあっても):
前述の「喜びを伝えたい」ということと逆のことを言っているかのように聞こえるかもしれないが、最善を尽くして悪いことが起きてしまっても、それを隠すのではなく、報告することにより当事者間の信頼関係を築こうとすることは大切である。よく悪い報告をすれば、叱られるのではないかとか、或いは報告を受ける側が悲しむのではないかと思い込んで、悪い報告をせずに、良い報告だけをする人もいるが、それはお互いの関係において信頼関係がないからそのようなことになるわけである。真に信頼関係があれば、お互いのことを自分のことのように考えることができるはずで、一緒に問題解決にあたろうとするはずである。もし、悪い報告をして、頭ごなしに否定、批判するような相手(例えば上司)であれば、自分はそのようなことはしないでおこうと決めて、周囲の人の悪い報告ですら、親身になって受けとめる自分を目指せばいい。最終的にはそのような人が、信頼され、人をリードするようになることは間違いないからである。自分が頭ごなしに否定、批判されたから、自分も報告してくれた人に対して、同じように否定、批判していては何の成長も無い自分になるだけである。 (つづく)


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