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■最後の日
もきちのきもち 〜ある中学校の保健室にて〜 bV 最後の日 7年間、共に過ごした先輩が転勤していく。職員室で会えた時、廊下ですれ違った時、保健室を訪れてくれた時、時の隙間に交わした小さな会話が、いつもお互いを元気にした。ピンチはいつも一緒に切り抜けた。 その方がいると思うだけで安心だった。その方が行くならと出かけていく気になる。そばにいると幸せをおすそ分けしてもらえるように感じた。私が転勤していくと、すぐに声をかけてくださったことが昨日のことのようだ。 忙しいのはいつものことだから、おしゃべりをする機会を努力して作った。積み重ねたたくさんの時間は私達の宝物。この絆は切っても切れない。どこにいこうと離れない。友情というものを知った。 体育を担当していた先生は、いつもシャッキリしていた。大きな声で叫んでいた。明るい表情でおどけていた。先生の作る体育祭での女子のダンスが好きだった。本部席で観ている私は熱くなり、ジンとしてうれしい気持ちになった。 バスケットの顧問をしていた先生は、いつもチームのことで苦しんでいた。 生徒のこと、親のこと、周囲のこと。先生の率いるチームは、いつも「ナンバー1」を目指し、時代が変わって生徒が違っても輝かしい結果を残した。 一人の家庭人である先生は、家事も育児も介護もこなすスーパーウーマン。疲れきって、時々会議の時に揺れていた。気持ち良さそうに揺れていた。 ある時は妻として、ある時は母として、ある時は嫁として、悩みは尽きぬ。 そんなに頑張って、そんなに走って、へとへとなのに、まだやる気とは。 教師と言えども生身の人間。元気印の先生が私の前で流した涙は数知れない。向かい合って聞くうちに私も泣ける。これが、もらい泣きというものか。気がつくと二人で泣いている。 たくさんの思い出が、桜の花びらに乗ってひらひらとこぼれていく。なぜか涙顔の先生ばかりが蘇る。みんなは想像もつかないだろう。 明日からの学校で、もう先生に会うことはない。職員室に行っても、廊下を歩いても、保健室で待っても、あの笑顔は幻。じわりじわりと淋しくなる。 この日が来ることはわかっていたが、あまりしんみり考えずにおこう。最後の日が穏やかな一日で、よかった。 (もきち) |
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