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■旅が教えてくれたもの


もきちのきもち  〜ある中学校の保健室にて〜

bT 旅が教えてくれたもの

 磐梯へ向かうバスの中。誰かが「あいつがいないんじゃ、つまらないなあ。」と独り言。高熱に倒れた友達を残したまま、ため息を乗せてバスは走った。
 山は晴れていた。冷えた空気が気持ちよい。白雪が光っている。大自然が私達を待っていた。
 「スキーってすごく孤独。」以前、吹雪の中で私はそう思った。自分で降りるしかない。恐いと感じたら恐いだけ。行けると信じれば前に進める。勘をつかむとたまらなく楽しくなる。まるで、雪の魔法にかかったようだ。
 多くがそんなスキーの醍醐味に触れる頃、ロッジでは床に臥す人達がいた。 保健室の換気のため障子を開けると、そこは雪景色。みんな一斉に床の中から視線を窓の外に移した。変わらぬ静寂。誰も何も言わなかった。
 旅が、私達に日常と違う時間と空間を共有させた。出会い色々。友達に付き添って来て、「手伝います。」と手際よくシーツを広げてくれる女の子。「ちょっと会ってもいいですか?」と仲間を見舞う男の子。「ありがとうございました。」と蘇り部屋に戻っていく微熱の人。「先生は大丈夫?」と気遣ってくれるいつも元気なあなた。
 帰りに乗り込んだバスにはスピーカーから軽快なリズムが流れ、賑やかな談笑の渦が広がっていた。熱にうなされても「友達の声を聞くと元気が出ます。」という病の君。

 この旅で拾った美しき言葉と光景の数々に、私の疲れも溶けてしまう。
 旅は、非日常でありながら日常の延長線上にある。
教えられたものを大切にしたい。 

(もきち)







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