■問われるべき企業の責任  (2003年5月27日号)


2000年6月、未だ記憶に新しい、1万3千人以上が被害を受けた雪印乳業の乳製品による集団食中毒事件、企業の危機管理のあり方や、消費者の安全よりも利潤追求と責任回避を優先させる企業の体質が問題となった事件であるが、5月27日、大阪地裁より判決が出され、当時の現場責任者らは執行猶予付き禁固刑で、会社は罰金、当時の経営陣は刑事責任さえ問われず、企業体質についても言及されなかった。

当時北海道にある同社の工場で、黄色ブドウ球菌の毒素に汚染され被害が出る可能性を知りながら、廃棄による会社の損失や責任問題を恐れ、低脂肪乳の原料となる脱脂粉乳を廃棄せずにそのまま出荷。そして大阪工場製造の低脂肪乳を飲んだ消費者に食中毒を発症させた。当時の現場責任者は、営業停止などの行政処分を恐れ、日報の改ざんを指示するなど隠ぺい工作を行い、経営陣は食中毒の情報を知っていながら、公表、回収の決断を丸一日先送りした。

その後も同社の子会社で食肉偽造事件が発覚、また他社においても同様の事件が起こり、食品の安全性への信頼は一連の食品会社の不祥事で失墜した。その発端となったのが今回の判決が出た雪印事件であるが、法廷における立証には限界があるにせよ、現場責任者の刑事責任のみならず、本来問われるべき責任は、経営陣の危機管理の欠陥、そしてこれらの不祥事を引き起こした企業体質そのものではなかったかと思う。そして根本的な企業としてのあり方や経営理念については、経営層はもちろん、社員全員が真正面から見つめ、その内容、実現に理想、情熱を継続的に感じない限り、企業体質の変革は一時的なものに終わり、再び悪化してしまうことを懸念する。

(Vic)



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