■自由主義の限界と将来 (2002年7月12日号)

米国7月10日のCNNニュースによれば、民間航空会社のパイロットが銃により武装することを許可する 法案が米国下院で可決された。今後上院での採決が待たれ、またブッシュ政権はこの法案に反対を表明して いるため、簡単に法案が成立するかは不明ではある。しかしながら下院の穏健派ですら賛成に回り (賛成310:反対113)、苦渋の選択とも言える。

米国の民間パイロット組合で実施された調査では、ハイジャックされた場合F−16戦闘機で撃墜の指令が 出される可能性があることなどから、最後の防御手段として銃の携帯には73%が賛成している。

日本においても空港における手荷物検査が昨年のテロ以降強化されているが、アメリカは当事国として はるかに空港及び旅客機の保安体制に意識が払われている。空港の手荷物検査エリアでは複数の軍人が マシンガンを手に常に警備にあたっているし、機内においても操縦室に至るドアは強固なものに改造が進んで いる。

「自由」を守るために闘うという大義名分はあるにせよ、希望の21世紀を迎えたはずの自由主義国家の 頂点にあるアメリカの姿としては厳しく、また悲しい現実である。自由を維持するためには、過剰な 武装が必要となり、そのために莫大な資金、人、エネルギーが必要となっている。

そしてこのことは航空機のテロ対策だけの問題ではない。今は凋落したものの、かつて90年代のシリコン バレーはドットコム企業により億万長者を次々と生み出し、彼らの住宅街は高い塀で囲まれ自衛する必要が あったのである。すぐ近くには貧民街が存在した。

アメリカはこれまで世界の警察国家として、世界平和に大きな役割を果たしたことは否定できない事実で ある。ただ今回アメリカにテロを仕掛けたグループが拠点をもつアフガニスタンは、国民一人あたりの 消費カロリーが世界最下位であり、出産のため死亡する女性の数は世界最多という。このような世界の 状況にも配慮できてこその自由主義ではないかと思う。

自己実現に走りすぎた結果が、現在のアメリカの社会情勢、経済情勢を招いているように思える。 「自己実現」から「相互実現」、あるいは「全体実現」へと飛躍する理念なくして、現状の自由主義も 限界にある。

自らの兄弟を銃により亡くした米国人の友人がいつも言うことは、アメリカは「機会」に満ちた自由の 国ではあるが、一方で現実のアメリカの社会は「麻薬」と「銃」により様々な社会問題を引起している、 ということである。

その忌むべき「銃」に頼らざるを得ない状況を招いている現在の自由は、明らかにアメリカ建国当時の 自由の精神からずれてしまっている。

(YOSHI)



WHIより: 時代を越えて普遍的な視点を提供する、WHIの基本理念ホワイハウメッソド ( WHOM : Why HOw Method )を学んでみませんか? 興味をお持ちの方はセミナーのコーナーを御覧下さい。



 Copyright(c) 2001 WHY-HOW Institute. All rights reserved.