■資本主義の崩壊(V) アメリカンドリームは悪夢に  (2002年7月11日号)

一体、アメリカンドリームはどこに行ったのであろうか?アメリカは移民の国であり、何の資本がなくても、 過去の歴史・実績がなくても、努力により自分が評価され、大成功するような道があった。そこまではいい。

ところが、ベンチャーに夢をかけ、一攫千金をねらったアメリカンドリームは、結局のところ自己「のみ」の 実現であり、金銭的な、また外的な豊かさの追求に陥ってしまった。

1620年に宗教の自由を求めて、メイフラワー号に乗り命がけで米国にたどり着いた時の精神はいったい どこにいったのか?

上陸前には有名なメイフラワー契約をつくり、「神の栄光のため、キリストへの信仰を深めるためにそこに住み つこうとしている」ことが記されている。また「自分の労力の一部、自分の収穫の一部、自分の時間の一部を みんなのために拠出しよう」ということも記され、アメリカのボランティア精神にもつながっている。彼らは 公正と平等を重んじる社会の建設を誓って、プリマスで植民地を開拓した。道をつくり、教会をつくり、学校を つくり、やがてはイギリスから独立し、政府をつくることになる。

メイフラワー号に乗ってアメリカに上陸した当時から、今日の地に落ちたアメリカの資本主義の流れを見たときに、 旧約聖書に記されたユダヤ民族(イスラエル民族)の歴史を思い出さずにはいられない。ユダヤ民族はエジプトで 400年の苦役の時代を終え、モーセに率いられカナンの地に定着する。その後、士師時代、統一王国時代を迎え、 サウル、ダビデを経てソロモン王の時には世界の頂点に立つ黄金時代を迎える。

しかしながら、栄耀栄華の絶頂にいたソロモン王はそれまでのユダヤ民族の伝統的な精神を忘れ、歴史を忘れ、 この世の欲望に走った。その結果民族は分裂し、長く流浪の歴史をたどるわけである。

ユダヤ民族と現在のアメリカを同一視するには、時代も環境も異なる。しかしながら、歴史における本質は 単純であると思う。原点にある精神、また今日に至るまでの歴史を忘れて、自己の欲望に走るとき、その人物、 その国家は滅びるということである。90年代のアメリカは「アメリカ経済は永遠」とまで謳われるまでに、 経済は絶好調のように見えた。しかしながら実際はその10年間で所得水準があがった人は全体の数%にしか 過ぎないとの報告もある。かえって所得格差が拡大したのである。そして絶好調のように見えたアメリカ経済も、 その成功に溺れ、またそこからの転落を恐れる余り不正によってでも人々を欺こうとしている。

今、アメリカンドリームは本来の意味を見失い、悪夢となっている。そして、理念なき、哲学なき資本主義の 崩壊は迫っている。
−終わり−

(YOSHI)



 Copyright(c) 2001 WHY-HOW Institute. All rights reserved.