■資本主義の崩壊(U) アメリカンドリームは悪夢に  (2002年7月10日号)

前回、Corporate Governance(コーポレート・ガバナンス:企業統治)という言葉について簡単に解説した。 この言葉は会社の方針を誰がどのように決定し、また如何に監視するかという仕組みを表し、通常この仕組み には、@株主、A取締役会、B監査役が主要な役割を果たすとされてきた。

米国では「株主主権」と言われるように、会社は株主のものであるという概念がはっきりしている。そのため 株主の意向に沿わない、取締役(経営者)は首にされる。それ故米国の経営者は株主の期待に応えるためには、 近視眼的な発想にならざるを得ない欠点があり、四半期ごとの経営指標に振り回されることにもなる。

上述のコーポレート・ガバナンスという概念を踏まえて、2001年12月、米国において過去最大の破産と なったエンロン社について考えてみる。エンロン社でも監査役は当然存在した。監査役とは企業経営が健全 であるか、不正会計が行われていないか、第三者の立場で厳しくチェックする人(機関)である。エンロン社 の場合、巨大企業に相応しく世界5大会計事務所のアンダーセンが担当していた。しかしながらエンロン社の 簿外取引などによる巨額の損失隠しに関する不正会計が明るみに出たとたん、アンダーセンは証拠隠滅を はかるためにエンロン社に関連する大量の資料を破棄していた。伝統と歴史あるアンダーセンの信用は一夜 にして失墜し、一挙に顧客離れを引き起こしてその歴史に幕を閉じている。コーポレート・ガバナンスに おいて重要な役割を果たすはずの監査役が取締役(経営者)と結託して、自分たちの利益を優先し、株主の 利益を犠牲にしたのである。

さらに信じられない話は、12月に破綻する前にエンロン社の会長は社員に対して、自社の株価回復に対する 自信のほどをメールで伝え、株の保有を勧める一方で、自身と経営幹部は大量の株を売却していたという事実 である。株式を一般投資家に公開している上場会社としてあるまじき行動に出ている。しかも「株主主権」が 確立しているはずの米国で、それも小売業ウォールマート社に次ぐ、全米No.2の売上を誇っていた会社で そのようなことが起きたのであるから、その後の一般投資家の上場会社、株式市場に対する不信感は大変な ものとなっており、現在もその影響は世界中の株式市場に波及している。エンロンに続き、ゼロックス社、 そして今度は通信大手のワールドコム社でも同様の事態となれば、一般投資家はいったい誰を信用したら良い かわからない状況にある。

事態を重く見たブッシュ大統領は、企業の不正に対しては厳しい姿勢で、具体的には厳しい規制と罰則で 臨むと宣言している。しかしながら、それが「自由」の国アメリカの本来の姿か?
−続く−

(YOSHI)



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