■1兆円の赤字と1兆円の黒字  (2001年11月2日号)

日本の各企業の中間決算が出そろってきた。IT産業不況のあおりを受けて電機メーカー各社は 軒並み赤字となった。なんと電機大手7社の総赤字額は1兆円を越えた。たった半年前には全製造業の 利益の3分の1をも稼いでいたのに、この落ち込みようは大変なものだ。この巨額の赤字は半導体を 中心とする電子部品の供給過剰による需給のバランスが崩れたことにある。

しかし、この不況の中、創立以来の黒字を計上する企業がある。自動車業界である。中でもトヨタ自動車は、 来年3月期には連結ベースで1兆円の経常黒字額を計上することになるようだ。国内、海外とも販売額は 落ちてはいるものの、円安や原価低減が奏功している。

かつては、「電子立国日本」と自ら呼び、IT関連の技術レベルの高さを誇っていたが、今その地位はかなり 傾きかけている。この2つの業界の差はどこから来るのだろうか。

日本人は、勤勉で手先が器用で丁寧なものつくりをすることには世界でも定評がある。自動車業界では そのようであるが、電気・電子の業界ではそのようになっていないとでもいうのだろうか。決して そのようなことはないのではないかと思う。

自動車は実にたくさんの部品を使い、さまざまな技術を使いながら高性能・高信頼度のものを作り上げて いく。半導体も高性能・高信頼度という点では自動車と同じであるが、高度に自動化されかつて日本が 得意としたノウハウの部分は機械の中に組み込まれ、誰でもが同じ品質のものを容易にできるように されていった。自動車にはまだまだそのようなノウハウの部分が多いと見ることができる。簡単に新規参入が できない理由がそこにあると思う。

今、巨額の赤字を抱える企業では自信を無くしてきているようにみえる。日本人には他にはない得意な部分が ある。その部分がより生かされる形で「強み」としてビジネスモデルを作ることができれば、まだまだ「電子 立国日本」の復活はあると思っている。昨年までのITバブルのとき日本IT企業はその上にあぐらをかきすぎて いたのではないか。そのことに気づいて、世界を視野に入れながらも、もう一度日本の日本人の良さをビジネスに 反映させることが本当の復活になるのではないだろうか。

日本の良さをもう一度世界に伝えるためにも、がんばれ日本。

(wa)



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