![]()
| ■日米共に苦しい経済情勢
(経済と経営の根本的 "発想の転換 <資金循環の法則> " の必要性) (2001年8月20日号) このところ東京株式市場では日経平均株価がバブル崩壊後最安値を更新し続けている。8月17日には13日につけた バブル崩壊後最安値をさらに更新し、1万1445円54銭で取引を終了している。お盆休み、9月の決算前という背景も あるが、いよいよ1万1000円割れも視野に入ってきている。いったいどれ位株価が下がっているか例を挙げると、 ソフトバンクは上場後、米国ナスダック市場の急成長を受け2000年初めには一時60,000円以上の値をつけている (注:ソフトバンクは上場後、株式を3分割しているため分割後の調整値)。しかしながら、8月17日の終値はなんと 3,000円を割ってしまっている。つまり約1年6か月を経て、20分の1になってしまったのである。ソフトバンクは売買の 最小単位が100株であるため、仮に60,000円で100株買って、8月17日まで売却せずに "忍耐強く" 待った場合の およその損失は、(60,000 - 3,000) x 100 = 5百70万円にものぼるのである。ソフトバンクに限らず、日米のIT 関連会社、いわゆるドットコム(.com)の株価は、米国ナスダック市場の暴落により、20分の1の下落は珍しくない。 余談ではあるが、筆者が株式投資、特に株の売買で得られる利益(キャピタルゲイン)を重視する投資を嫌うのは、 このような事情もある。 さて17日の東京市場のあとを受けて注目された、米国17日ニューヨーク株式市場であるが、惨憺たる週末となった。 NYダウ株価は151.74ドル安の10240.78ドルとなり、再び10,000ドル割れが視野に入ってきている。ハイテク関連企業の NYナスダック株価指数は63.31ポイント安の1867.01ポイントになり、1900ポイントを割っている。筆者は現在米国に 滞在しているが、CNN Headline Newsでは、世界第2位のフォード自動車が最近売上、シェア共に落とし、全従業員の 約10%に当たる、5000名のホワイトカラーを解雇することを繰り返し報道している。このニュースもアメリカ経済の さらなる下ぶれ懸念を連想させ、NY市場の株価の下落につながっている。 さらに先週から、しばらく120円台を維持していた円ドルレートが119円台をちらつかせ、米国経済の減速に よりドルがやや売られる局面になっている。円が強くなれば、日本の輸出企業、特にハイテク関連企業の売上が 低下するため、最近では円高により日本の株価が下落するのが一般的である(注:為替と株価の関連は必ずしも 明確な傾向は見られず、様々な要因により支配される)。米国財務長官はこれまでの「強いドル」の方針は変わらないと 繰り返し表明しているが、世界中のものが米国に流れ込み、世界経済を支える買い手に回っていた米国が自国の 経済不振から、一転「強いドル」の方針を転換すれば、猛烈な円高が日本を直撃し、一挙に日本経済、世界経済の 崩壊が進むというシナリオは絶対にあり得ないということは誰も断言することはできない。米国が方針変更すれば、 世界経済がどのようになるかという事を誰しも理解しているので、そんなことはまず無いであろうとある意味で 楽観的に考えている。話を為替レートに戻すと、為替市場ほど予測が困難な市場はないと言われている。そのため 今後円ドルレートがどのような動きを示すかも注目に値するであろう。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、 米国経済を下支えするため金利の利下げが予想されているが、米国の金利が下がると一般的には通貨ドルは下落する ことになり(これも飽くまで一般的にはである)、円は強くなることになる。米国で利下げされると、米国株価は 原則上昇するはずであるが、日本では「円高による国内株価下落要因」と、「米国株価上昇による国内株価 上昇要因」との綱引きになりそうである。 一方日本では、日銀が国内景気を下支えするために、すでに公定歩合を限界まで引き下げ、さらにいわゆる "金融の量的緩和" により、金融市場への資金供給量を増やしている。簡単に言えば、企業がお金を借り易い状況を 作り出しているわけである。 ということで、世界経済をリードする日米双方の金融当局が懸命になって経済の建直しを図り、また世界経済が クラッシュしないように舵取りしている。ここまでが、本記事の背景説明で、ようやく本論に入るが、世界が 現在抱える経済問題を長期的視野に立って解決して行くためには、国家の金融政策、あるいは財政政策の根底から 見直す必要があると考える。サブタイトルにあるように、経済と経営の根本的 "発想の転換" が必要ではないかと考える。 問題が簡単では無いため簡単に結論づけることはできないが、次のような例がわかりやすいかも知れない。 人類歴史をさかのぼると、最初の経済交流は物々交換であり、ある人が米を作り、別の人が魚をとったら、 "必要に応じて" 交換していたのである。ところがこの交流に目をつけ、ある人が自分が作ったものを一人占めしたり、 他の人の物を奪ったりして、富を築いて行くわけである。"必要に応じて" 交換していた状況から、必要にも係わらず 全体に分配されない状況になるのである。 別の例では、日本は第2次世界大戦後、廃墟と化し、経済も大混乱の状況にあったが、朝鮮戦争による "特需" により、 経済が復興するきっかけとなったのである。またその後80年代から90年代にかけては、国内の人件費が高いので 人件費が安いアジア諸国で製造し、アメリカ他の国に輸出して利益を得てきたわけである。現在でも人件費が安い 中国で衣料品、電化製品を生産し、なんとか利益をあげている企業も多い。 さて上記の例で共通していることは、当然かも知れないが、なんらかの "経済的ひずみ" がある時に、利益を得ている ように思える。そのこと自体必ずしも、敵視すべきではないとも思えるが(何故なら経済発展に一定の貢献があったので あるから)、このような "ひずみ" を利用して、誰かが富を得る、極端な例になると富を独占するという、経営、経済の メカニズムはそろそろ限界に来ているように思える。 WHIの基本理念である 『 ホワイハウメッソド ( WHOM : Why HOw Method ) 』 を応用した経済法則の1つとして、 資金循環法則がある。これは体内の血液が十分に循環しなければ、生命が維持できないということを考えれば 良くわかる法則で、経済が健全であるためには、お金(資金)は循環すべきで、どこかに独占されるべきでないということである。 今までは世界の経済に "ひずみ" があったため、大国が力のない国をある意味うまく活用して成長・発展してできた。 企業における利益を得るための活動も同様である。が、今後世界のすべての国々が経済的に成長・発展するためには、 これまでの、経済の "ひずみ" を利用した発展の枠組みは取り払うべきであろう。また取り払いたくないと抵抗しても、 これまで経済的に力のなかった国々が少しずつ成長してきており、経済大国とかつてほど人件費に格差がなくなり、 技術的にも拮抗する日は遠くないであろう。 結論として、"経済的ひずみ" により、これまで経済大国という国々は成長・発展してきたが、それはそれとして 過去の世界経済の発展に貢献があり、役割があったにせよ、今後この "経済のひずみ" を前提とした世界経済の継続的 発展は困難で、その前提を基にした様々な政策も不発に終わると考える。飽くまで資金循環法則が述べているように、 本来 "経済的ひずみ" があれば、世界中がそのひずみを「利用する」のでは「なく」、そのひずみをなんとか「取り除き」、 健全な状態にしたいとするであろう。ちょうど体に異常があれば、意識がそこに向かい、なんとか回復しようと、 いたわったり、薬を飲んだりするようにである。 (YOSHI) |
|
|