■教科書問題に思う (2001年7月13日号)

教科書問題がふたたびゆれています。センシティブな問題なため、日本政府も余り強い姿勢を示すとアジア諸国から反感を買うことになり、逆に余り弱い姿勢を示しても内外から批判を受けそうです。この問題に対する政府の見解を聞く限りでは、冷静で、建設的な意見を述べているように聞こえるのですが…。

この件にかかわらず、戦争や犯罪に巻き込まれ、無念の思いを抱きながらもどうしようもない人々が多く存在します。個人的にはその無念さを一人一人の心の痛みとして、また人類共通の痛みとして認識し、将来へ建設的な形で生かすしかないのではと感じています。

日本人の立場としては悲しみ、苦しみに耐えてきた人々に申し訳ない思いで接するしかないのですが、徐々に中国、韓国などのアジア諸国の特に若い世代が、日本文化を受け入れ、日本に対して好意的に接してくれていることを、大変うれしく感じ、また感謝しています。 そしてワールドカップの影響もあってか、日本は今コリアン文化に人気が高まっていることも希望的です。過去の歴史を乗り越えて、共通の未来を築くことができればどれほど素晴らしいでしょうか。そしてそのことは次の体験からも可能と私は確信しています。

2年前の夏、ソウルで国際会議があった時に、会議場で一人の韓国人青年と出会いました。私と私の友人に、「日本から来られたのですか? もし観光を予定されているなら、必要な交通費と食費だけだしてもらえれば、一日ガイドをさせてもらえませんか?」と日本語で申し出がありました。初対面で面食らったのも事実ですが、ハングルに不慣れな私と友人であったため、翌日朝からガイドをお願いしました。

観光しながら彼といろいろ話したのですが、彼には日本の大学で留学経験がありました。日本に留学する前に、彼の両親は日本への留学に猛反対し、日本人がどれほどひどいかを彼に訴えたというのです。そのため覚悟して日本に来たそうですが、日本語がわからなかったにもかかわらず、彼のまわりの日本人はみんな大変親切に接してくれたと言うのです。だから日本人には良いイメージを持っていて、何かあれば恩返ししたいと思っているというのです。この話を聞いて、私も友人もとても感激しました。

さて、一日の観光の終わりに彼はぜひここにと、薬膳でもあり滋養たっぷりの鶏のスープ "参鶏湯" (サムゲタム)の専門店に連れて行ってくれました。夏にこそ、この熱いスープが体にいいのですよと説明してくれましたが、彼の胸に秘められた思いを聞かせてもらったあとの "参鶏湯" の味は格別でした。また近いうちにぜひソウルに出かけてみたいと思っています。もっともっと人と人が直接出会い、語り合う場があれば、双方の理解が深まることを感じるからです。

(YOSHI)



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