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| ■吉野家、牛丼値下げ (2001年7月7日号)
7年前にセゾングループにより更生会社から再建が図られ、株式公開後も牛どんチェーン店最大手を誇る吉野家(2000年[予想] 売上1000億、経常利益167億、店舗1004)が、並盛り牛どんの価格を400円から280円に3割値下げすると発表した。値下げで平均客単価が22%下落するものの、客数は前期比50%増を見込み、売上高は10%超の増加となる見通しである。外食業界はすでにハンバーガー最大手の日本マクドナルドの平日半額セールをきっかけに値下げ競争が過熱しており、ドーナツ、コンビニ弁当なども追随している中で、300円を切る牛どんが広がれば他の業界への影響は必至で、デフレの加速を懸念する向きもある。 経営学の一般論では、商品・サービスの「成長期」には競争激化により、消費者の交渉力が高まり、適切なタイミングでの価格引下げの有効性を述べている。例えば携帯電話の歴史が正にその例であり、当初は携帯電話器その物、通話料ともに高額であったが、すでに激烈な価格競争の最中にある。ただ値下げで顧客を増やすという戦略は、最初は成功するかに見えても、他社の追随で予想或いは期待通りに顧客数が伸びず、結局収益に大きな打撃を与え結果的に経営不振に陥るケースも多い。 また通常業界のプライスリーダーは、業界全体の収益を確保するために、敢えて低価格戦略に出ないのが、これまでの常識であったが、日本マクドナルドに続いて、吉野家もか?という状況にある。吉野家の場合は、他の牛どんチェーン店(松屋フーズ、すき家、神戸らんぷ亭など)の先行低価格戦略、他の外食店の低価格戦略に少なからず影響を受けていたことによる、巻き返し戦略であると思われる。 これまでの経済学によれば、いわゆる市場メカニズムに任せれば自動的に均衡が成立する "完全競争" の場合、「価格」は需要と供給のバランスで決定される。しかしながら、現実の社会は "完全競争" 社会ではなく、 "不完全競争" 社会で、一社 "独占"、あるいは複数の有力企業による "寡占" の状態になる(日経文庫経済学入門シリーズ ミクロ経済学入門 奥野正寛 など)。独占の場合は、価格つりあげにより、寡占の場合はカルテルにより価格維持を図り、企業収益を確保することがこれまでよく行われてきた。しかしながら、これまでのこれら常識を覆すような事態が、外食産業にもおこりつつある。政界のみならず、経済界も暗中模索の時代に突入しているようだ。 さて、吉野家の値下げ発表を受けて注目された東京市場の株価であるが、寄り付きから吉野家D&Cは値を飛ばしたものの、その後もみ合い結局引けでは前日比マイナスとなっている。また松屋フーズもマイナス引けである。たしかにここ数日来のNYDOW、NASDAQの再度の下落傾向、東証株価全体の下落に押された面も否定できないが、 牛どん業界の今後を暗示しているかのようである。特に値下げ効果が一巡したあとのリスク、また低価格を売上でカバーするための大幅な新規出店、投資のリスクが気になる。 (YOSHI) |
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