■イチローの活躍 (2001年6月14日号)

連日イチローの活躍が日米の野球ファンを釘付けにしている。
今年から世界最高峰と言われるメジャーリーグに挑戦しているイチローは、日本で7年連続首位打者という偉業を達成し、 他の日本のプロ野球選手とは、野球に対する技術、情熱、人気とも次元の違いを見せていた。イチローは、一昨年のある 試合で絶好のタイミングと完璧なスイングで捉えた球がショートの平凡なゴロに終わった時、バッターボックスから ファーストベースに走るほんの数秒の間になぜ凡退したのかを分析、その時バッティングの真髄を体得できたという。 以来"自分にはもうスランプはない"と豪語している。

なるほど昨年は怪我で離脱するまで、そして今年はメジャーで 現在に至るまで、スランプに一度も陥っていない。特に今年、メジャー一年目と言えば誰もが緊張する中、初めから マイペースで調整した。春先は流し打ちばかりしているイチローに所属チームシアトルマリナーズ監督のピネラは内心 "せこいバッター"だと思いながらイチローに忠告した。その際、イチローはピネラに軽く一言"今はセットアップの期間 ですから"と答えた。準備期間だから本番になればやりますよという意味だったらしい。その際のチームメイトの反発は かなり激しかった。あんな細い体でセコイ当りばかり飛ばして、バッティングアベレージを稼ごうとしている。正直 皆そう思った。しかし、蓋を開けて見るとメジャーの重圧もまた周囲の不況和音も自分のプレーであっという間に覆した。 どんな球にも体が反応し、空振りが殆どなく、癖球はファウルし、右にも中間にも左にも自分の思ったところに打球を 飛ばす技術に皆脱帽している。そしてそれのみならず、普通の選手ならアウトになる平凡なゴロも、"打った瞬間に イチローはファーストベースの半分まで来ている"とチームメイトが舌を巻くダッシュと足の速さで、毎回相手野手は イチローの打球が飛んで来るだけで戦々恐々だ。守りでは、誰もがホームランだと思った当りをジャンプ一番キャッチ して見せたり、実況アナウンサーに"レーザービーム"と言わせる返球の速さと正確さといい、本家アメリカでも見たことも ないプレーの連続・・・連日スタジアムは超満員、テレビの視聴率は鰻のぼりだ。

また、イチローが出塁するとチームは俄然活気付き、負けていても逆転するケースは枚挙に暇がない。昨年まで3年 連続でチームの看板選手を他球団に放出したシアトルマリナーズは、シーズン当初誰も注目していなかった。しかし、 只今15連勝中しかも47勝12敗という驚異的なペースで勝ち続けている(6月9日現在)。今やチームのカリスマ、 チームメイトの野球観を変え、人格にまで影響を及ぼすイチローとは何者なのだろうか? イチローを結果だけ見て、 とかく天才バッターだという者がいる。しかし、屈強なメジャーリーガーの中で際立って華奢で小さいイチローは、 自分がメジャーの舞台に立てた理由を次のように話す。

"自分には夢はありません。夢ではなくて目標を持っています。その目標を達成するために、どこをどのように改善 させるのかを真剣に探求します。そして緻密なトレーニングとどんな逆境にあっても屈しない精神力、最後の決め手は 自分の周りの人たちから応援してもらえるかどうかです。自分が正しいことを追求してへこたれずやっていれば、 回りは応援してくれます。でもやっぱり一番は大好きな野球に出逢わせてくれた父・母のお陰です。"(Taro)



 Copyright(c) 2001 WHY-HOW Institute. All rights reserved.