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●心やさしい女神様 (2004/3/25) HEART LAND 2004 3月号 心やさしい女神様 どうしてもリボンが必要だった。明日使うために手に入れなければならない。 夕方の人ごみの中を自転車で走る。一つ目の大きなお店に行くと、私が探しているものはなかった。困った。もう一つの小さなお店には間違いなくリボンがあることを知っている。ますます闇になり街のライトが輝き出す人ごみの中を自転車でまた走る。閉まっている。頼みの綱のそのお店は閉まっていた。困る!「ああ、こんなことを前日にしているのが悪い。」そして、「どう考えても今日手に入れなければならない。」しかも「早く帰らなければならない。」 自転車から降り、必死の思いでそのお店の中を覗いてみた。ドアのあたりに閉店の雰囲気が。奥に明かりがついている。よく見ると、2.3人の人影が動いている。私は、恥も外聞もなくガラスを叩いた。こんな時、図々しさがすごく発揮される。私に気づいた一人の女性が手をグルリグルリと回している。「向こうから回って。」という私への合図だと感じた。私は、いつにない身軽さで、その女性のサインの通りにした。裏口の方に走っていくと、先ほどの女性がニコニコしながら私を出迎え、「どうぞ、お入りください。」と声をかけてくれた。きれいな声だった。この方はきっと歌が好きに違いない。透き通る声の持ち主だ。小柄な50代位のその方は、ショートカットと首に巻かれたスカーフがよく似合うエプロン姿の女神様。 助かったぁ。息をはずませながら、お目当てのリボンを手に入れる。よかったぁ。会計のレジの音を聞きながら時計を見ると、6時3分。「そうか、3分過ぎていたのか。」と妙な納得の気持ちに浸る。わがままをお詫びしながら、何度も何度もお礼を言ってお店を後にした。 それにしても、この女性のあたたかさ、気前のいい親切に心打たれた。くったくのない笑顔に「なぜそんなに優しいのですか?」と問うてみたくなる。あの方のいるお店なら、是非また足を運びたい。ルンルンしながら闇を走った。 反省しなければならないことがある。帰り支度をしてカーテンをしめているところやってきた人に嫌な顔をしたことがある。もうそんなことはできない。あの女神様のようなきれいな声と笑顔で「どうぞ。」と招きいれよう。 (ひらめきのペガサス) |
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