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■21世紀の企業像 −組織論(U)−

キーフレーズ:人材投資によるレバレッジ効果


個人が会社という組織に属するということには、プラス・マイナス両面の効果があるように感ずる。マイナス面とは、生活のため、或いは義務感で会社に出勤するといった従属感、或いは長引く経済の低迷により、会社組織と言えどあてにならないという不安定感である。しかしながら、一方では個人が会社に属しているからこそ、発見・体験でき、可能となることがあるというプラス面は見逃せない。

例えば、会社の業務を通じて様々な能力を身に付け、社内外の人との出会いの場が与えられる。また出張を考えてみても、個人で東京−札幌を往復するだけですぐに万単位の出費となるが、会社では出張旅費が支給され、仕事とは言え、見知らぬ土地を訪れることができる。

さてタイトルにあるレバレッジ効果であるが、従来レバレッジ効果というと、借入金による利益拡大を狙った財務レバレッジが有名である。わずかな元手(自己資金)しかなくても、借入金により大きな利益を産み出し、自己資本利益率をてこ上げするという意味でレバレッジ効果(てこの効果)と呼ばれるのである。(注:もちろん借入金の金利以上の利益をあげなければ、この話は成立しない。)

会社によって教育され、機会を与えられること、即ち、人材への投資は、会社にとっては大したお金で無いかもしれない。しかしながら、社員にとっては個人では不可能なことを可能にしてくれる。つまり個人の能力、経験が会社の投資により、てこ上げされるレバレッジ効果が現れるわけである。

一方、会社は人材投資によって損をするかと言えば、そんなことはない。適切な人材投資は、人を育て、組織力を高めて行き、いずれ会社に大きなプラスとなるわけである。即ち、会社にとってもレバレッジ効果が働くわけである。

但し、会社にとっても、社員個人にとっても、このレバレッジ効果がうまく働くためには、会社と社員の信頼関係が必要となる。うまく働かない例は、社員研修などと言っても、ほとんど形式的で身が入らなく、時間とお金の無駄遣いということが挙げられる。

会社と社員、先輩と後輩、上司と部下との関係において、互いに学び合い、教えあい、連携をとることができれば、この人材投資によるレバレッジ効果を存分に発揮でき、その組織は大きな組織能力を確立・継承することになるであろう。組織全体がまさに「てこ」の効果で飛躍するのである。

ところが残念ながら多くの会社では、セクショナリズム、無関心、或いは従属的な人間関係により、縦・横のつながりは薄く、ある個人の能力を全体で共有しようとする仕組み、システムに欠けていることが多い。その理由は簡単で、自己中心という考えにより個人や組織が支配されがちであることによる。もし自己中心という枠組みから抜け出した企業が現れたなら、レバレッジ効果により、ほんのわずかな人材投資が、恐ろしいまでの威力を現すに違いない。特により能力ある者が、積極的に指導に当り、教えられる側も自主的に、前向きに受け止めるのであればである。

さて、テレビ東京月曜夜9時から「愛の貧乏脱出大作戦」という番組がある。客の入らない貧乏な飲食店経営者が、超人気店の料理の達人のところに修行にでかけて、再起をはかる番組である。この番組が繰り返し発信していることは、どんなに達人がすばらしくても、修行する本人が心を入れて学ぼうとする気迫がなければ、料理の技は相続されないこと、しかしながら、ひとたび本気になって学べば、達人の腕は短期間でも相続されるということである。まさに、人材投資に関するレバレッジ効果である。

(YOSHI)





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